テクノポップってなんだ?これだ!

80’sテクノポップを愛するみんなへ!

僕のテクノポップ&エレポップ愛聴盤ガイド Vol.7



THE HURTING/ザ・ハーティング
TEARS FOR FEARS(1983年作)


児童虐待をテーマにした、ティアーズ・フォー・フィアーズさんの1stアルバム。
というと、なんだか社会派な印象を与えますが、むしろ、「人の心」に訴える
とても繊細な感性と、すぐれたメロディーをたたえた名盤です。

80年代の洋楽チャートを賑わした彼らからして、
テクノポップというジャンルでくくるのに違和感のある方もいるかもしれません。
たしかに、その後の「SHOUT」「RULE THE WORLD」というヒット曲は
テクノポップと呼べるものではありませんが、
この1stは、どこかネオアコ的なセンスも感じさせながら
まぎれもなく、瑞々しいテクノポップと言えます。

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ほぼ全編、打ち込みドラムと同期音で構成され、
そこにキレのあるギターがからむ、という
典型的な当時のニューウェーブのアプローチをとりつつも、
CURT SMITHと、ROLAND ORZABALの二人からなる
なんとも情けない感じのヴォーカルが乗ると、
ちょっとまだ青くさい、感受性の高い少年のようなテクノポップになるのです。

ゲートリバーブをほどこしたタムドラム、
ドラムマシンSEQUENTIAL TOMのクラップ音、
当時の定番シンセPRORHET5のくすんだ音、など
その後の80年代の音楽シーンに影響を与える要素満載。

ゲストも見逃せません。
ギタリストにPHIL PALMER、
サックスには、なんとMEL COLLINSという腕利きミュージシャンが
ちゃんとワキを固めてます。

特にPHIL PALMERは、BLISS BANDというアメリカ西海岸のバンド出身で
バンド時代は、ばっちりドゥービーブラザーズや、エアプレイ的な
さわやかアメリカンロックをやってた人。
それが70年代後半になぜかイギリスにわたり、
それまでとはまるで違うニューウェーブな世界で活躍するという
ユニークなキャリアの持ち主。
そのすばらしいギターテクニックは、RUPERT HINEのソロアルバム、
JAPANのDAVID SYLVIANのソロ、RAIN TREE CROWなどでも聴けます。

アルバムに話を戻すと、どの曲も印象的で捨て曲なし、です。
あえて、あげるなら、
1、2、3、8、10曲目でしょうか。
なかでも、3曲目「PALE SHELTER」では、
メロディーの美しさに宙に解き放たれそうになります。

8曲目「CHANGE」は、シングルにもなり、
緊張感あふれる同期音がとっても印象的なクールな1曲。

どうしようもなく悲しく美しい「START OF THE BREAKDOWN」で、
アルバムは幕をとじます。

2曲目「MAD WORLD」も素晴らしいけど、当時僕は上記3曲にやられ、
いっきにファンになりました。

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1st直後にリリースされた12インチシングル「THE WAY YOU ARE」
しかし、このシングルはなぜかこけましたw

このアルバムの高評価とはかりしれない可能性を期待され、
2年後の次作「SONGS FROM THE BIG CHAIR」からは
前述の「SHOUT」「RULE THE WORLD」といったビッグヒットも生まれ、
いっきにアメリカ市場も視野に入れた、ビッグなバンドになっていきます。
そう、時は1985年、テクノポップという言葉も音楽シーンから、
過去のものとして葬られてゆくのです。。。

ああ、悲しい。

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しかし、この「THE HURTING」は80年代初頭のイギリスの
音楽シーンのおもしろさがめいっぱい詰まった超名作であることに
間違いはないのです。
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  1. 2017/08/21(月) 00:35:30|
  2. テクノポップのおはなし
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「王道 日本のテクノポップ」と、言い切ろう



今、このビジュアルに反応する方は、日本にどれだけいるかしら

70年代後半から80年代初頭に音楽シーンを席巻した
テクノポップ、という新しい音楽ジャンル

発信地である英国のテクノポップ・アイコンといえば、GARY NUMAN。

ここ日本では一瞬のうちに人気になり、一瞬のうちに人気は下火に。
典型的な一発屋、残念な人として、評価は定着しています。

この時代のテクノポップをひたすら追求する僕、MOOLY。
GARY NUMAN、ULTRAVOX、JAPANから始まるテクノポップの歴史を
ていねいに、注意深くたどりなおすことで、温故知新。
あらたに気づくこと、得ることが、必ずあるはず、という
信念のもとに、今も、そしてこれからも、王道テクノポップをつくってゆくのです。

そんな僕の2枚のテクノポップアルバムを、あらためてご紹介。
テクノポップってなに? それってつおい? というみんなに
ぜひ聴いていただきたい音楽なのです。

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ニューアルバム『ICONIC(アイコニック)』 2017年6月リリース ¥1620


「SOMEONE TO LOVE」「ICONIC GIRL」など、マニアが苦笑するテクノポップ満載。
★下記のサイトで試聴できますよー
SOUNDCLOUD
https://soundcloud.com/mooly-in1980/sets/tracks-from-my-new-cd-iconic

AUDIOLEAF
https://www.audioleaf.com/moolyin1980/

EGGS
https://eggs.mu/home?en=mitamusic1980

★下記のお店、サイトでお買い求めいただけますよー
AMAZONさん
https://www.amazon.co.jp/ICONIC-MOOLY-mooly/dp/B071ZYD9KL/ref=sr_1_1?s=music&ie=UTF8&qid=1497456007&sr=1-1&keywords=iconic+by+mooly

LOVE RECORDSさん(インディーズ通販サイト)
http://love-records.net/?pid=119059340

東京未来音楽さん(東京・東池袋)
http://www.future-music.co.jp/

shop MECANOさん(東京・中野)
http://shopmecano.com/

インディーズCD「音楽処」さん(北海道・札幌)
http://www.ondoko.jp/top.shtml

モナレコーズさん(東京・下北沢)
http://www.mona-records.com/shop/index.php

ディスクユニオンさん(HP/東京・各店舗)
http://diskunion.net/portal/ct/detail/1007451125

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1stアルバム『LOONY by MOOLY』 2012年4月リリース ¥1028

ヴォコーダーヴォイスと、コルグのアナログシンセが織りなす
今どき感ゼロの、きっすいの王道テクノポップアルバム。
むりやり80年代初頭にタイムスリップさせる「ILLUMY」「OVERMIND」など、
力強い8ビートテクノ満載です。
こちらも、上記の試聴サイトで数曲聴けますし、アマゾンさんでまだ発売中です!

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はい、なんせ使ってる機材がこれですから(笑)
新しい音楽なぞ、できるわけがありません。

僕の愛機KORG DW-8000なるシンセは、もうかれこれ32年も一緒に過ごしている間柄。
今もなお、あの頃のいい音を出してくれてます。

そんなレトロだけど、結果的に新鮮なMOOLYのテクノポップ。
お聴きになりますか?  まさか…(笑)

  1. 2017/08/10(木) 21:21:47|
  2. MOOLYの音楽紹介
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僕のテクノポップ&エレポップ愛聴盤ガイド Vol.6



DANCE/ダンス
GARY NUMAN(1981年作)

エレポップの発祥地といえば、なんてったってドイツとUK。
ドイツではKRAFTWERKだけど、UKでの立役者は、なんといってもこの人。
そう、GARY NUMAN。

KRAFTWERKがどちらかというと、高尚な立場でエレクトリックミュージックを
切り開いたのに対して、
ロック、しかもパンキッシュな立場から、シンセサイザーを導入しちゃった
この人の、その後の功績は相当なもんです。

UKでは、オリジネーターとしてきちんと評価され、いまだに根強い人気を誇る彼も
ここ日本での評価は、ヒット曲「CARS」「ARE FRIENDS ELECTRIC?」だけ、という
いわゆる「一発屋」あつかい。その当時から。

1970年代後半から80年代初頭にかけて、新時代の音楽として
日本でも華々しく取り上げられはしたけど(たとえばPARCOのCMなど)
場当たり的な活動、ムラのあるアルバムのクオリティ。
そして、直後に吹き荒れだしたDURAN DURAN、CULTURE CLUBなどの
さらに若くて、イカしたバンドの登場で、その存在はいっきにかすみ、
「GARY NUMAN? ださくね?w」的なレッテルを貼られ、
その後、日本で再評価されるまで、とてつもない長い時間を要するのです。

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そんな彼が1981年、まだ多少知名度のあった時期に発表されたアルバムが、これ。
「DANCE」です。
今でこそ、「踊れるロック」というキーワードが定着してるけど、
このアルバムにおける「ダンス」とは、かなり異質なもの。

むしろ、アンビエントミュージックの先駆と呼んでもいいような
瞑想的な面をもった問題作です。
当然、アルバムタイトルと中身のあまりのギャップに、
リスナーからは、さらに困惑、失望され、
GARY NUMANの日本における人気の凋落を決定づけたアルバム、とも言えます。

そんなネガティブなことばかり書きましたが、
僕はかなり好きで、当時相当衝撃を受け、
JAPANの「孤独な影」、ULTRAVOXの「VIENNA」と並んで、
僕自身のエレポップ人生を決定づけてしまった、はずせない名盤なのです。

一介の貧乏レーベルだったベガーズバンケットの唯一のかせぎ頭だったゲイリー。
その数年後には、契約を切られてしまうんだけど、
この当時は、まだ周囲のゲイリーにかける期待は相当のもので、
潤沢な予算で、ゴージャスなゲストミュージシャンを迎えて、
前作「TELEKON」までのアンドロイド路線から、見事にイメージチェンジ、
サウンドもとってもユニークに変貌しています。

まず、ベースになんとJAPANのMICK KARN!
そしてほどなくバンドを脱退するROB DEAN。
ドラムでは数曲、これもびっくりQUEENのROGER TAYLORがたたいてます。
この顔ぶれだけ見ると、かなりファンキーでアグレッシブな演奏を期待しちゃうけど、
全然そんなことはなくて、アルバムのテンションはいたって低め。
多少アップテンポな曲はあるものの、どうにも元気の出ない、しょんぼりとした曲が続きます。

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当時のブリティッシュインベンションといえば、DURAN DURANを筆頭に
イケイケで、ノリノリなビートの曲が主流だけど、
こんなにテンションの低いアルバムを出す、というのは、ある意味勇気のある決断だったかもしれません。

理由としては、ゲイリー自身の失恋、前年リリースされたJAPANの「孤独な影」の影響
他のアーティストとは違った、自分なりのアプローチの模索、などが考えられます。

MICK KARNにはだいぶご執心だったようで、今で言うストーカーでしょうか、
おそらく潜在的にJAPANからメンバーを奪い取って、自分のバンドメンバーにしちゃいたい的な
欲求がったようです。

フレットレスベースが持つセクシーさと、ねばっこいゲイリーの歌い方が
本家DAVID SYLVIANより、心地よい、と、僕は感じるんだけど、
どうだろう。
あまりの短期間に、場当たり的にレコーディングをチャッチャッと済ませてしまう、
この人の悪いくせが、曲のアレンジひとつとっても、今ひとつ練られてない、というのは事実。

しかし、かつて「芸がない」とか、「曲が全部おんなじ」と揶揄された
ソングライティングは大きく進歩し、曲自体のクオリティは意外に高いのです。

1曲目「SLOWCAR TO CHINA」は9分もある大作。
淡々としたリズムボックスと、MICKのベースがJAPAN以上にJAPANだし、
(CHINAというワードも過去のゲイリーの語彙にはなく、これもおそらくJAPANの影響)
3曲目「A SUBWAY CALLED "YOU"」は、中近東的なムードもちらつく
あやしく美しい曲。
B面1曲目はシングル「SHE'S GOT A CLAWS」はMICK KARNとゲイリーの
コラボとして、もっとも良くできた曲。
「BOYS LIKE ME」は、ROBのE-BOWと、なんとJAPANのバンドスタッフ
CONNIE FILAPELLOがセクシーな声で参加。もう相当露骨なJAPANのっとりサウンドです。
ピアノ、ベース、サックスのアンサンブルが泣ける「MY BROTHER'S TIME」。
過去の名曲「METAL」のリメイク「MORAL」で、絶望的に美しくアルバムは幕をとじます。

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こうして見渡すと、このアルバムはJAPANの「孤独な影」の合わせ鏡のような作品かもしれません。

JAPANに嫉妬するゲイリーの屈折した感情が、失恋や、かげりはじめた人気に対する不安など
いろんなネガティブな要素として複雑にからみあい、
結果として、「気分は暗い、でも踊るよ」という矛盾した作風に昇華したのです。

その後のゲイリーは、エレポップの範疇を少し離れ、よりファンクに、よりアグレッシブに、
つきすすみ、どんどん音楽シーンの主流から離れていきます。

変わり者の僕は、彼のどんな時期の、どんな作品もすべて愛してるんだけど、
この「DANCE」というアルバムは、ねじくれた感情が結晶した「美学」として
少し心がささくれたり、疎外感にどっぷりひたりたい時に、今でも聴いています。

明るいだけが音楽じゃないし、暗いだけが人生じゃない。

なんだか、そんな複雑なアルバムなのです。

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  1. 2017/08/05(土) 20:48:09|
  2. テクノポップのおはなし
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僕のテクノポップ&エレポップ愛聴盤ガイド Vol.5


GENTLEMAN TAKE POLAROIDS/孤独な影
JAPAN(1980年作)


80年代初頭のイギリスにおけるエレポップ、テクノポップの三大巨頭
ULTRAVOX、GARY NUMAN、そしてもっとも孤高の存在『JAPAN』

当時20歳そこそこの若者のものとは思えない、その音楽は、
エレポップはおろか、ニューウェーブ、ニューロマンティックという
ジャンル、ムーブメントだけではとても形容できない
何ものにも属さない、サウンドの特異性、革新性、達観した世界観で
今なお、新鮮で、クールでありつづけています。

なぜ、こんなバンドが、こんな音楽が生まれて、存在できたのか

それはフロントマンDavid Sylvianの、あまりにも強烈で屈折した自我と、
各メンバーの、まったく不揃いの個性、テクニックのブレンドによるものです。

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JAPANというバンドの出自については、今までほうぼうで語り尽くされ、
最近出版された「JAPAN 1974-1984 光と影のバンド全史」において
だめ押し的に、徹底的に述べられているので、一介のファンである僕は
彼らの作品の中から1作、この「孤独な影」を推してみたいと思います。

この作品は、ドイツのアリオラ・ハンザというレーベルから、
当時もっともクールなレーベルだったVIRGIN RECORDに移籍した第一弾で
1年後のラストアルバムであり、最高傑作「TIN DRUM(ブリキの太鼓)」の前作にあたるもの。

初期のパンク、ハードロック、グラム、レゲエ、ディスコポップといった
まったく節操のない音楽性がじょじょにそぎおとされ、ある種の美学を作り上げた
記念碑的な作品、それが本作、といえます。

そのサウンドは、もはや一般的な意味でのロックでもなんでもなく、
かといって、わかりやすい「踊れるエレポップ」でもなく、
いわば、老成し、諦念し、しかしどこか自信に満ちて、暗闇の中で不敵に笑う
ふてぶてしさもあわせもったもの。
ギターは極限までカットもしくは、ヴォリュームを下げられ、
このアルバムをもって、ギタリスト、ロブ・ディーンはバンドを脱退。
そりゃそうですよね。
「もう、おまえは要らん」って、めんどむかって言うなんて。。。
David Sylvianという男、とんでもなく薄情、というか失礼な奴です。

Davidに限らず、各自エゴと自分のテリトリーを主張しはじめ、
結果として、リチャードの、めくるめくシンセサイザーの洪水、
ヴォーカルと同じくらい自己主張する、ミック・カーンのベース
キレキレだけどエキセントリックすぎる、スティーブのドラム

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暗いけど、サウンドはゴージャス。
Davidの書く曲も、まったりしながらも、ロキシーミュージックほど甘くなく、
シニカルで、より深い孤独を切々と歌います。

この底なしの悲しみ、寂寥感は、
あえていうなら、Radioheadのトム・ヨークに近い感じかもしれません。

1曲目のアルバムタイトルでシングルとなった「GENTLEMAN TAKE POLAROIDS」
7分以上ある長尺で、ラストサビが終わってからも延々とあやしい演奏が続きます。
こういった構成は、当時のディスコサウンドでよく見られるもので、
フロアでかかることを意識したのか否か不明ですが、
このアルバムを代弁する、あやしく暗いのに、なぜか盛り上がるユニークなダークポップ。

続く「SWING」は、チャカポコリズムボックスとスティーブのドラムが
エセ・アフリカ感を感じさせる、1曲目よりかはやや明るい曲。
よく聴いてみると、脱退するロブのギターが、ほんとにうっすら入ってます。
一生懸命弾いてるのに、こんなミックスされたら、ふつう怒ります。(笑)
とはいえ、SWINGという曲名のとおり、ゆったりとしたグルーブ感がここちよい曲。

3曲目「BURNING BRIDGES」は、Davidのインスト志向を体現した、
後半に1フレーズヴォーカルが入る、ノンビートの壮大なシンセシンフォニー。
ほとんどインストなのに、ちょこっとだけ歌をのせる、というスタイルは、
前作「QUIET LIFE」の「絶望」や、翌年のシングル「The Art of Parties」のB面
「Life Without Buildings」にも見られるもの。
この曲は解散コンサートのオープニングとしても使われました。

A面ラスト「MY NEW CAREER」は、ミディアムテンポの一見地味な曲ですが、
Davidはお気に入りなのか、その後の自選のベストアルバムにも収録されてるし、
「僕の新しい人生のかどで」を祝するような歌詞と世界観が、
旧来のロックを捨てて、新たな音楽を作るんだ!という
Davidの意気込みを表しているようで、妙に納得してしまいます。
この曲でも、もうロブのギターは入っていません。

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B面1曲目「METHODS OF DANCE」
これはもう、スティーブのドラミングと、ミックのベースのからみが
まさにJAPANにしかできないグルーブを出している、アルバム中もっとも
ノリノリな曲。このビートに影響を受けたニューウェーブ系のバンドは数知れず。
テクニカルな演奏と、甘く切ないメロディーに、彼らの音楽性の成熟を
はっきり見てとれます。

続く「AIN'T THAT PECULIAR」
これはモータウン、スモーキーロビンソンのカバー曲。
しかし原曲のおもかげは、まったくなく、かなり勝手な解釈。
モータウン好きがこの曲聴いても、ぴくりともこないでしょうねw
原曲はハッピーなソウルだけど、JAPANはそれを、中近東風なアレンジで
見事にぶちこわしました。ロブのE-Bowギターのリフレインと、
Davidの早口で、めずらしくエモーショナルな歌い方が印象的です。

B面3曲目「NIGHT PORTER」は、このアルバムの中だけでなく
JAPANの全キャリアの中でも代表曲のひとつと言えるもの。
Davidの目指す「静」の美学を最初に極めた、あまりに悲しく
涙がこみあげてとまらなくなるような、切ないピアノバラードです。
「まるでフランス映画のような」と、当時のレビューでも大絶賛の佳曲。

ラストの「TAKING ISLANDS IN AFRICA」は、教授ことYMO坂本龍一さんが
提供した曲。隣のスタジオでソロ「B-2unit」をレコーディングしてた教授と
Davidが意気投合して作って、JAPANのアルバムに入れちゃった、というもの。
これが、教授とDavidの長い友情の発端なんですね。
曲は、(なぜか)アフリカをお題にした見事な坂本メロディーで
おそらくバンドメンバーのパートを意識して、Prophet5でギターっぽい音が
入ってるけど、Davidはそれをロブに弾かせず、教授の作った音をそのまま採用。
この曲にいたっては、ミックも参加せず、Davidのエゴが、
その後のバンドの解散を予見させる、複雑な気持ちにさせられる曲。

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ブートのライブアルバム「METHODS OF DANCE」ではロブ在籍最後のギターが聴けます。

この時代のどのバンドにも似ていない音楽
過去のどんなジャンルにも属さない、異端児という道を選んだ彼らは
このあと、バンドの不和をかかえながら、ラストの「TIN DRUM」とワールドツアーをもって
惜しまれつつ解散。
その後の彼らは、一貫して「アート」にこだわる希有なミュージシャンとなっていきます。
不世出のベーシスト、ミック・カーンはすでに他界したけど、
その個性的すぎるベースサウンドも、このアルバムで存分に味わえます。
  1. 2017/07/22(土) 19:40:56|
  2. テクノポップのおはなし
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僕のテクノポップ&エレポップ愛聴盤ガイド Vol.4



RAGE IN EDEN/エデンの嵐
ULTRAVOX(1981年作)


80's初頭に花開いたテクノポップ、エレポップという新しいジャンルを
作ったのは、ドイツならKLAFTWERK、日本ならYMO
UKならGARY NUMAN、そして忘れてはいけない主役
それが、ULTRAVOX(以下UV)です。

1981年の今作は、彼らの最も話題になったアルバムで、
ULTRAVOXとは何だったのか?という答えでもあります。

そもそもJohn Foxxというシンガーをフロントマンとして
パンク全盛期にデビューしたのが、1977年。
ISLAND RECORDから3枚リリースするも、全く売れないまま
John Foxxは脱退。約1年のバンド休止を経て、
新メンバーMidge Ureを迎えた作品が、ある意味真の1stとも言える
「Vienna」というアルバム。

John Foxx時代とは打って変わって、スタイリッシュに、タイトに
きらめくシンセサウンドをバックにハイトーンで歌われる
ヨーロピアンサウンドに、時代は即反応。

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Midgeがもたらした卓抜なメロディーセンスと、
斬新なエレポップが詰まったViennaは、
JAPANの「孤独な影(Gentleman take polaroids)」やYMOの「BGM」とともに、
その後のテクノポップ、エレポップの「ひな型」的存在となりました。

実際、その影響力は、はかりしれず、直後のDURAN DURAN
80年代中盤まで続く、シンセを主体としたロックバンドには、
必ずといっていいほど、UVの影響が見てとれます。

でも、流行りすたりは世の常で、
あまりにも短期間にみんなが寄ってたかってマネしたもんだから、
このてのテクノ&エレポップは急速にマンネリ化し、飽きられ、
80年代中盤には、すっかり勢いをなくしてしまうのでした。(悲)

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前置きが長かったけど、今回紹介する「RAGE IN EDEN」は、
名盤「Vienna」の成功を受けて、音楽シーンから盛大な賞賛をもって迎えられた作品。

UVの魅力は、なんといっても、英国、というかヨーロッパ全体における
ロマンチシズム、リリシズム、映画的なドラマ性にあります。

そこにこだわりすぎて、前述の通り、徐々に飽きられていくんだけど、
この「RAGE IN EDEN」はその彼らの魅力が早くも全開になった作品で、
1曲目から、ラストの9曲目までが、プログレとはまた違う、
ひとつの世界観を構築している、絵巻物のような構成になっています。
1曲1曲のポップさ、ではなく、トータルアルバムとしての完成度が異常に高い
それゆえに、その後の作品が超えることのできないものを作ってしまったわけです。
(バンドによくある話ですが)

たたみかけるような8ビートの1曲目「THE VOICE」は、雄叫びのようにりりしく、
「RAGE IN EDEN」は電波のノイズにまみれ、
カチッとラジオを消すと4曲目「I REMEMBER」の同期音が始まる、という
マネしたくなるような展開、構成がめじろ押し。
く「THE THIN WALL」では、Midge Ureの高音と、
ドラマーWarren Cannの低音ヴォーカルの対比もかっこよい、テクノビート曲。
パンクあがりなのに、やたら音楽的素養が高いのもUVの特長で、
キーボードのBilly Currieは、ピアノだけでなくViolin、Violaも鮮やかにこなす才人。

もやもやとした「Stranger Within」を過ぎると、アルバムはラストに向かって疾走していきます。
「Accent on youth」「The Ascent」「Your Name」と曲は切れ目なく
鮮やかに、はかなく終わりを迎えます。
まさにスキのない作品、それが哀愁の名作「RAGE IN EDEN」。

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彼らのドラマ性を感じるなら、ぜひアナログでA面、B面を楽しんでほしい、
と言いたいところですが、最近は、CDもゴージャスな2枚組になって比較的カンタンに入手できます。

https://www.amazon.co.jp/Rage-Eden-Ultravox/dp/B001CVMDBU/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1500034719&sr=8-1&keywords=RAGE+IN+EDEN

80’sテクノポップを楽しむうえで、マストバイな逸品、ぜひどうぞ!
  1. 2017/07/14(金) 21:23:10|
  2. テクノポップのおはなし
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プロフィール

moolyin1980

Author:moolyin1980
テクノポップクリエーターMOOLY。
2017年6/15よりセカンドCD「ICONIC by MOOLY」アマゾン&中野MECANOさんで発売中!あの80年代初頭のきらきらわくわくテクノポップサウンドが炸裂してます。
ファーストCD「LOONY by MOOLY」もよろしく哀愁!

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